「読書したいけど、長編を読む時間がない…」「古典に挑戦してみたいけど、何から読めばいいかわからない」
そんな悩みを抱えているあなたにこそ、青空文庫の短編小説がおすすめです。
青空文庫は、著作権が切れた日本の文学作品を無料で公開している電子図書館。
スマホやタブレットで手軽に、名作文学を楽しむことができます。
ここでは、そんな青空文庫の中から、特に読みやすく、心に深く響くおすすめの短編を厳選してご紹介します。
読み始めるのに最適な作品から、少し刺激的な作品まで、あなたの読書ライフを豊かにする珠玉の10作品を、それぞれの魅力とともに解説していきます。

本記事のポイント
- 芥川龍之介『羅生門』
- 太宰治『走れメロス』
- 宮沢賢治『注文の多い料理店』
- 梶井基次郎『檸檬』
- 森鴎外『高瀬舟』
- 江戸川乱歩『人間椅子』
- 中島敦『山月記』
- 坂口安吾『桜の森の満開の下』
- 夢野久作『瓶詰地獄』
- 夏目漱石『夢十夜』
※本記事の内容等は青空文庫の公式サイトから引用させていただいております。
短時間で読める名作!青空文庫おすすめ短編厳選5選
まずは、通勤時間や休憩時間など、ちょっとした空き時間にサッと読める、珠玉の5作品をご紹介します。
どれも文学史に名を残す名作でありながら、現代の私たちにも通じる普遍的なテーマを扱っており、読後には深い余韻が残ります。
1. 芥川龍之介『羅生門』
言わずと知れた芥川龍之介の代表作。
平安時代、荒廃した羅生門の下で、下人がある老婆と出会う物語です。
人間のエゴイズム、善と悪の境界線、そして生きるための究極の選択を問う、強烈なインパクトを持つ作品です。
わずか数千字の短い物語の中に、人間の本質を鋭く抉り取る芥川の筆力には圧倒されるでしょう。
教科書で読んだ方も、大人になった今、改めて読み返すとまた違った発見があるかもしれません。
2. 太宰治『走れメロス』
太宰治の数ある名作の中でも、最も多くの人に愛される傑作です。
「メロスは激怒した。」というあまりにも有名な一文から始まるこの物語は、信義と友情、そして人間の純粋な心をテーマにしています。
暴君に捕らえられたメロスが、友人を救うために走る姿は、読者の心を熱く揺さぶります。
単純なストーリーに思えるかもしれませんが、その底には太宰治ならではの人間に対する複雑な視線が隠されています。
読後には、誰かと友情について語り合いたくなる、そんなパワーを持った作品です。
3. 宮沢賢治『注文の多い料理店』
「どなたもどうかお入りください。けっしてご遠慮はありません。」という、一見すると親切な案内から始まるこの童話は、読み進めるごとに不気味な雰囲気に包まれていきます。
欲に目がくらんだ二人の紳士が、山奥で見つけた一軒の料理店で奇妙な指示に従っていく様子は、現代社会の風刺としても読み取ることができます。
読む人によって様々な解釈ができる奥深さがあり、子供から大人まで楽しめる宮沢賢治の傑作です。
4. 梶井基次郎『檸檬』
病に苦しむ「私」が、憂鬱な気分から脱するため、街をさまよい歩く物語です。
行き着いた果物屋で「私」は一つの檸檬を手に取ります。
その檸檬が、どうしようもなく退屈な日常に、ある種の希望と破壊をもたらす様が詩的に描かれています。
梶井基次郎ならではの、研ぎ澄まされた感性と、五感を刺激する美しい描写が印象的です。
たった一つの檸檬が持つ、不思議な力を感じてみてください。
5. 森鴎外『高瀬舟』
江戸時代、京都の高瀬川を下る舟の中で、ある罪人と護送役の同心との間で交わされる対話を描いた作品です。
弟殺しの罪を背負った喜助が、なぜその罪を犯したのかを淡々と語る姿に、同心は深く考えさせられます。
安楽死や尊厳死といった、現代の倫理観にも通じる重いテーマを扱っており、静かな語り口の中にも、人間の苦悩と慈悲が深く描かれています。
読後には、あなた自身の倫理観を問い直すきっかけになるかもしれません。
知的好奇心を刺激する!青空文庫おすすめ短編珠玉の5選
続いて、読書に少し慣れてきた方、あるいは一風変わった物語を求めている方におすすめの5作品をご紹介します。
これらの作品は、ミステリーや幻想的な世界観、人間の心理の闇を描くなど、より深く文学の面白さを堪能できるでしょう。
1. 江戸川乱歩『人間椅子』
手紙の形式で始まる、江戸川乱歩の代表的な怪奇小説です。
ある女性作家の元に届けられた、奇妙な告白文。
それは、とある椅子職人が作った椅子の中に、自分が潜り込んで過ごしたという恐ろしい体験談でした。
読者の想像力をかき立てる不気味な設定と、最後の衝撃的な展開は、一度読んだら忘れられません。
2. 中島敦『山月記』
詩人になることを夢見ながら挫折し、虎になってしまった男・李徴の悲劇を描いた物語です。
虎になってしまったのはなぜか、そして彼は何を後悔しているのか。
人間としての矜持と、獣としての本能の間で苦悩する李徴の姿は、私たちの心に深く突き刺さります。
才能がありながらも、世に認められない苦悩、そしてそのために他者を蔑む傲慢さ。
現代社会に生きる私たちにも通じる普遍的なテーマが、この作品には詰まっています。
3. 坂口安吾『桜の森の満開の下』
桜の森の満開の下では、不思議なことが起こるという伝説を巡る物語です。
山賊が美女と出会い、その美しさに魅せられ、やがてその美女の残酷な命令に従っていく様が描かれます。
美しさの裏に潜む狂気と、人間の欲望の果てを、幻想的な筆致で描き出した傑作です。
満開の桜がもたらす、狂おしいほどの美と恐怖を堪能してください。
4. 夢野久作『瓶詰地獄』
極限状態における人間の心理を深く掘り下げた、夢野久作の幻惑的なサイコホラーです。
無人島に漂着した少年と少女が、ガラス瓶に手紙を入れて海に流すという形式で物語が進行します。
しかし、読み進めるごとに、彼らが置かれている状況の異様さが明らかになっていきます。
そして、最後に明かされる戦慄の真相は、読者に強烈な印象を与えることになります。
5. 夏目漱石『夢十夜』
夏目漱石が夢の中で見た不思議な出来事を、10の短い物語に仕立てた作品です。
第一夜の「百年待っていてくれ」と告げる女性の物語から、第三夜の盲目の子どもが、主人公の背後にあるものを正確に言い当てていく不気味な物語、それぞれ独立した物語でありながら、全体として一つの哲学的な問いを投げかけます。
夢と現実、生と死、そして時間というテーマを、独特な文体で描いた、文学的にも非常に価値の高い作品です。
青空文庫に関する人々の口コミ
それでは、ここで青空文庫に関する人々の口コミを見てみましょう。
Xの口コミ:最高に夏を感じる小説!
梶井基次郎の『檸檬』
— ただの本好き (@book_travele) August 2, 2025
あまり言われてないけど、最高に夏を感じる小説だと思う。青空文庫から無料で読めるので、まだ読んだことのない方は、ぜひこの夏読んでみて下さい。https://t.co/neuDS6p6aM pic.twitter.com/1tD2blQKc4
Xの口コミ:ハマるきっかけになった小説!
人間椅子
— たたててら (@Tatattr91123TR) July 6, 2025
江戸川乱歩にハマるきっかけになった小説。有名作品だけど書籍では見たことなくて、青空文庫で読んだよ。こういう薄気味悪いけど情熱を孕んだ話大好きで、青空文庫で定期的に他の話も読んでる🥰
総括:青空文庫おすすめ短編で文学の海へ旅に出よう
最後に、本記事のポイントを以下の通り振り返ってみましょう。
- 芥川龍之介『羅生門』:
平安時代の羅生門を舞台に、人間のエゴイズムや善悪の境界線を問う、強烈なインパクトを持つ作品。
数千字という短さで、人間の本質を鋭く描いています。 - 太宰治『走れメロス』:
信義と友情をテーマにした太宰治の傑作。
「メロスは激怒した。」という有名な一文から始まり、純粋な心のために走るメロスの姿が読者の心を熱く揺さぶります。 - 宮沢賢治『注文の多い料理店』:
欲に目がくらんだ二人の紳士が奇妙な料理店を訪れる童話。
読む人によって様々な解釈ができる奥深さがあり、現代社会の風刺としても楽しめます。 - 梶井基次郎『檸檬』:
憂鬱な気分を抱える「私」と、一つの檸檬の出会いを詩的に描いた作品。
研ぎ澄まされた感性と、五感を刺激する美しい描写が特徴です。 - 森鴎外『高瀬舟』:
安楽死や尊厳死といった重いテーマを、江戸時代の罪人と同心の対話を通して描いています。
静かな語り口の中に、人間の苦悩と慈悲が深く描かれた文学作品です。 - 江戸川乱歩『人間椅子』:
手紙の形式で始まる怪奇小説。
椅子職人が作った椅子の中に自分が潜り込むという不気味な告白と、衝撃的なラストが読者の想像力をかき立てます。 - 中島敦『山月記』:
詩人になることを夢見ながら虎になってしまった男・李徴の悲劇を描いた物語。
才能と傲慢さの間で苦悩する李徴の姿は、現代に生きる私たちにも通じる普遍的なテーマです。 - 坂口安吾『桜の森の満開の下』:
美しい美女の裏に潜む狂気と、人間の欲望を描いた幻想的な傑作。
満開の桜がもたらす狂おしいほどの美と恐怖を堪能できます。 - 夢野久作『瓶詰地獄』:
無人島に漂着した少年と少女が瓶に手紙を入れて流すという形式のサイコホラー。
読み進めるごとに明らかになる状況の異様さと、最後に明かされる真相が強烈な印象を残します。 - 夏目漱石『夢十夜』:
夢の中で見た不思議な出来事を10の短い物語に仕立てた作品。
夢と現実、生と死、時間といった哲学的な問いを、漱石ならではの独特な文体で描いています。
最後まで本記事をお読みいただき、ありがとうございました。